kohnoのブログ

アクセスカウンタ

zoom RSS チェルノブイリから5年が経過した

<<   作成日時 : 2015/10/04 22:30  

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

(イワンとミーシャの会の古い資料をゴソゴソしていたら出てきました。訳者は不詳ですがたぶんYNさんです)
(文章上の明らかな間違いや読みにくいところは河野が手を入れています)
“ルースカヤ・ムイスリ”1991年4月26日号
( “ルースカヤ・ムイスリ(ロシアの考え)”はパリで発行されていたロシア語新聞です)

チェルノブイリから5年が経過した
イリーナ・クリボワ

 5年が経った被害者の親たちは、子どもたちが朝起きる時に枕に血の染みをみたり、学校から帰ると生気が無く疲れていて、遊んだり喋ったりする気力もなくすぐに横になってしまう光景を毎日見ている。もはや市民を欺くことはできない。この子どもたちは、チェルノブイリによる病気だ。実際多くの親たちはソ連の官僚的な医学会より、外国の医療チームの方をはるかに信頼している。
 キエフの母子医学センターや予防診療所の診断事情は極めて困難な状態で、ここ一年間ではフランスを拠点とした国際NGO「世界の医療団」が現地に入り、チェルノブイリの子どもたちの治療が都市ごとに行われるようになり、診療所の前は親と子どもたちの長蛇の列ができている。
 診療所の一つについての現状を、パリの週刊誌「エクスプレス」の記者は語る。プリピャチから疎開してきた1,000人ほどの子どもたちと同じ様に、13歳の少女オクサーナの病気のカルテには、「彼女にはいつも疲労感があり、夜になると激しい頭痛と不眠を訴える。鼻血は習慣性になってきた。度々起きる感染症は免疫力の低下を示すものだ」。ポスタル医師の診断によると、少女マリ・ジョエールには甲状腺に初期の障害が見られるという。彼女はこれまで超音波によるエコーやホルモンの検査を一度も受けていないという。ほとんどの他の子どもたちの場合も同じだ。フランスの医師たちは、いまキエフの病院では、必要とされる検査設備の90パーセントが不足し、使い捨ての注射器、検査用試薬、自動採血器など、なにも無い状態だ。
 作業の最初の数週間にウクライナで「世界の医療団」は、200人の採血を行い、パリのセン・ルイ病院に送り、その後も病人を受け入れているが、医師たちの認識では、最初は内科的というより精神的な影響が多くの人に現れていた。ところで今の医学的方針は、甲状腺の診断と治療である。
 ソ連の公式の資料では、直接のチェルノブイリの放射能による甲状腺癌患者数は、白ロシアの2人とウクライナの5人のわずか7人の子どもだけである。この数の信憑性に疑問をはさむのは西側の専門家だけではない。「チェルノブイリの子どもたち」のウクライナ組織のセルゲイ・コワレンコ議長は、「汚染地域からの38万人の疎開児童は、放射能の被曝による病に絶えず苦しんでいるだけでなく、その内の4分の1の児童たちはチェルノブイリの被害者として保健所に登録されている」と言う。また移動診療所に配置されている「世界の医療団」は近々、健康状態がよくない子どもたちの診療を拡大する予定だ。
 その他にキエフでは、長期の放射線被曝の影響を研究しているフランス科学研究所が活動している。昨年フランス人道援助相ベルナール・クリネルとウクライナ保健相ユーリィ・スオイジェンコが協定に調印した。その学術研究のプログラムは、甲状腺疾患、良性および悪性腫瘍、血液循環系疾患、特に放射線被曝による重病疾患の診断と治療専門の研究をしているフランスのギュスタフ・ルッシー研究所によって検討されたものだ。このプログラムの作成にはフランス核防衛・安全研究所も参加をしている。当該研究所は、放射線病理学と放射線測定の分野で有名で、ウクライナに必要な臨床検査を行い、コンピュータを導入して患者のデータを作成する予定だ。
 しかしウクライナと白ロシアの住民の広範な調査の実施は、現時点では想像以上の困難にぶつかっている。それは、少し前白ロシアの医療機関から、被曝患者のデータが記録された2台のコンピュータのディスクが盗まれ、その際に白ロシアの汚染地域で生活していた67万人のデータの全てが消えてしまった。これは「よた者(フーリガン)」の仕業だとされたが、この説を西側の専門家たちは信じてはいない。現地の医者たちは、まさにこの事実を、真実の情報を隠そうとした中央権力のサボタージュという常套手段のなせる業であると見ている。
 ウクライナ保健相スピジェンコも、「中央指導者たちは、悲劇の規模を覆い隠すために出来ることはなんでもやる」と言う。公式的には相も変わらず、爆発の結果高線量の被曝で32人の犠牲者が生じたとの説が流されているが、原発労働者と除染作業に参加した人たちが連合したチェルノブイリ労働者同盟の代表者の一人は、放射能を浴びた死者の数は7,000人に達していると確信をしている。ソ連政府の機関であるキエフ放射線医学センターの幹部は、現在237人全員が被曝により重い病気で苦しんでいると断言している。しかし当局は、65万人の「除染作業員」(その内の3分の1をウクライナ住民が占める)が、高濃度に汚染された地域で事故後も作業をしているという事実を真面目に考えていない。公式的には「志願者」とされているこの人たちは、軍人とソ連全土から急遽集められた促成の予備役軍人で構成されている。チェルノブイリ原発の医療班の主任医師は、自分の主要な課題はこれらの全ての人たちを探し出すことであるとジャーナリストとりわけ西側のジャーナリストたちに約束をしたが、未だに彼は被害者の名簿の作成に取りかかろうとさえしない。
 しかも仮に炉心爆発後の最初の数日、数週間、数ヶ月に高い被曝線量を浴びた人たちの数が限定されていたのならば、チェルノブイリの被害のこうした高い数字をどのように説明するのだろうか。実際、放射能汚染はさらに拡大し、今年だけでも5万人のウクライナ人たちが、自分たちの村々を捨てているのだ。白ロシアの状況はさらにひどい。この二つの共和国住民の健康は、今ではとても危険な状況になっている。食料や飲料に含まれている放射能は相当なものだ。
 ウクライナと白ロシアの耕作地の多くから、半減期の長い様々な放射性同位元素が検出されている。例えばストロンチウムとセシウムは30年間に渡って危険な放射線を出し続けるのだ。子どもたちは未だにミルクを飲むことを禁止されてはいるが、誰もジャガイモやキャベツや肉が何処から来ているかを聞こうとはしない。たった今ウクライナの保健省は、公衆衛生委員会の創設を宣言したばかりだが、この委員会の任務は食物からの被曝線量の国際基準を超えないようにコントロールすることにある。実際ウクライナでは今日、国際基準と比較して8倍に基準を上げた。しかし食料品の恒常的な不足のために、せっかくの正しい措置も今のところ絵に描いた餅という状況だ。
 世界の科学や臨床的実践では、高い被曝線量が人体に及ぼす影響については、すでによくわかっているが、それが低い水準で日常的で長期にわたる場合については、あまりよく知られていない。しかしウクライナと白ロシアの医師たちは最近、すでに汚染された地域だけでなく比較的「きれい」と言われている地域でおきている、住民のさまざまな突発的な疾患の発生についても検討をしているが、それがすべてチェルノブイリの後遺症であるとの結論を出している。甲状腺疾患、癌、白血病やほかの血液疾患などが住民、とりわけ子どもたちに増え、免疫力の低下が見られている。今後の予測は一層悪いものだ。ウクライナの専門家たちの意見によれば、現在起きていることは、始まったばかりだという。今後、年ごとにチェルノブイリの悲劇的状況はさらに拡大していくという。最後の結論は、もし早急に効果的な措置が取られなければ、この二つの共和国の住民の存在自体に危機的状態が生まれようとしているのだ。
しかしソ連の医学官僚たちは、二つの共和国の住民の病気の増加については、以前からの「放射能恐怖症」の結果であると繰り返すだけである。彼らは、人間的で民族的な悲劇については一向に触れようとはしない。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
チェルノブイリから5年が経過した kohnoのブログ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる